クワの実・クワの葉

ヤマグワの実(実のめしべの名残目立ちます)

ヤマグワの実(実のめしべの名残目立ちます)

ヤマグワの葉(形はいろいろ)

ヤマグワの葉(形はいろいろ)

マグワの実(全体につるつるした感じです)

マグワの実(全体につるつるした感じです)

昨年10月のブログでも紹介しましたが、本校では毎年中学2年生でカイコの観察を行っています。今年は5月末に入荷しました。人工飼料も用意してありますが、できるだけ生のクワの葉を食べさせるようにしています。多摩地域にはかつての養蚕の名残で、雑木林や畑の周りはもちろん公園や道ばたなどにもクワの木は多く、エサの確保に不自由はしません。4~5mの大木にお目にかかることもあります。

クワの葉に関して興味深いのは、写真の通りいろいろな形の葉があることです。学校の駐車場脇にあるものは切れ込みの深いタイプ。大学の角にある2m程の木は、多くは基本的なハート型。ただし部分的には、浅い切れ込みのあるタイプ、半分だけ切れ込みのあるタイプなどが混じります。何のためにこのような変異があるのか、何が原因なのか、遺伝子的には何が違うのか、正直なところはよく分からないようです。

クワの木はちょうど今、実が熟す頃。赤い実が黒くなってからが食べ頃です。その実をよく見るとヤマグワとマグワの区別が分かります。ヤマグワは日本古来の在来種で、マグワは養蚕用に中国から導入したものです。実の小さなつぶつぶについているめしべの名残が長く残り、糸のようなものがとげとげしているのがヤマグワ。これが短く全体としてつるっとしているのがマグワです。両種の雑種や改良された品種もあるそうです。

「桑の実」と言えば、童謡の「赤とんぼ」を思い浮かべます。♫山の畑の桑の実を小かごに摘んだはまぼろしか♫ 今の時代、この歌を知っている生徒はどのくらいいるのでしょうか。高校の生物の授業では、ウニやカエルの初期発生で、小さな細胞がつぶつぶのように集まった状態の胚を「桑実(そうじつ)胚」と呼んでいます。親しみを込めたネーミングなのでしょうが、「桑の実」を知らない生徒に説明するには、余計手間がかかりますね。

ところで今年のカイコ、順調にいけばまゆを作る頃なのですが、何か原因があるようでほとんど死んでしまいました。こんなことは滅多にありません。残念なことです。

ご意見・関連情報などありましたら、こちらまでご連絡ください。