ジュウニヒトエ

ジュウニヒトエ(5/8)

ジュウニヒトエ(5/8)

「多摩よこやまの道}」で(5/8)

「多摩よこやまの道}」で(5/8)

ジュウニヒトエ。何とも優雅なネーミングだと思いませんか。7~8㎝の花穂に小さな花を重ねたようにつけるようすを、平安時代の女性の装束である「十二単」にたとえたものです。「十二単」の赤や金色の鮮やかな色彩に対して、このジュウニヒトエはほのかな紫色です。でも、かえってこの優しい色の方がおしとやかな日本らしさを感じますね。しかも日本の固有種ですから、まさに古くからの伝統を引き継ぐ日本の女性の印象です。

4~5月、学校周辺の雑木林に優しい姿を現します。写真は5月8日のもの。すでに雑木林はクヌギやコナラの葉が繁り、やや暗くなった林床に、10以上の株がまとまって花穂を立てていました。数人の女官が十二単の衣装をまとって、ちょっと競いながらもお互いの美しさを認め合いつつましく寄り添っているイメージでした。私としては、4月、新緑前のまだ明るい日差しの届く林床に見られる姿の方がもう少し晴れやかで、「十二単」にふさわしいと感じていますが、いかがでしょうか。

撮影場所は前々回の「キンラン」のブログでも紹介した「多摩よこやまの道」。キンランも「たくさん」残されていますが、ジュウニヒトエも学校周辺ではこの場所ほど「たくさん」残されている場所はありません。残念ながら今はもう終わりかけていますが、来年のゴールデンウイーク前後に、是非足を運んで見てください。

ジュウニヒトエはシソ科の多年草、キランソウ属に属します。同属のキランソウは同じような花をつけますが、色は紫色が濃く花穂を立てずに地面を覆うように咲きます。そして、時々この2つの種の種間雑種にお目にかかることがあります。その名もジュウニキランソウ。色は薄紫色で両種の中間的な色合い、わずかに花穂を立てるところも中間的です。中間雑種のわかりやすい例として興味深い存在です。最近は、外来種のセイヨウジュウニヒトエも庭先から逃げ出して野生化しています。こちらは濃い紫色の花穂をしっかりと立てています。

 

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