キイロスズメバチの巣

大きさは約30㎝

大きさは約30㎝

巣盤は4層

巣盤は4層

学校裏手の土手で見つかったキイロスズメバチの巣です。生徒の通報で巣を発見。斜面の植え込みの中で、2階の教室から正面に見える高さにありました。生徒の安全を第一に考え、業者に駆除を依頼しました。私としては忍びない思いもありましたが・・・。

地面からは数mの高さですが、土手を上ると手の届く場所です。業者の方は慣れたもので、特別な防護服も着ず素手のままで作業を進めていました。巣のようすを確認してからそっと近づき、巣の入り口から殺虫剤をスプレーして、すかさず入り口をふさぎ、巣に絡んでいる枝を切り落として取り出しました。その間10分足らず。途中、巣に帰ってきた働き蜂が数匹飛び回っていましたが、特に攻撃されることもありませんでした。最初に巣を揺らしてしまうと中から一斉に成虫が飛び出してきて大変なことになるとのことです。

キイロスズメバチは体長18㎜~24㎜ほどで、他のコガタスズメバチやヒメスズメバチなどよりも小型の種です。体全体に細かい毛が生えており、他のスズメバチよりも毛深いことが特徴です。「キイロ」と言いますが、顔だけ見るとオオスズメバチやコガタスズメバチの方が顔全体が黄色で、キイロスズメバチは頭頂部にある単眼の周辺が黒くなっています。私はここで「キイロ」と確認しています。

今回の巣は30㎝ほどで、中には巣盤が4層重なっていました。狭い空間で巣を拡大していったため、細かい枝が何本も取り込まれているのが興味深いところです。中からは殺虫剤で死んでしまった成虫が約100匹出てきました。まだ取り出せないで入ったままのものもいると思います。女王と思われる大きさのものは100匹の中には確認できませんでした。キイロスズメバチは7月頃にもとの小さな巣から引っ越しして大きな巣を作るようです。夏休みを挟んだ2ヶ月ほどでこれだけの巣を作ったのだと思われます。

100匹のハチは標本にしました。せっかくの巣ですからきちんと保存したいと思います。ところで運良く外出中で難を逃れたものの、難民生活者となってしまった他の働きバチたちは、今後どのような生活を送るのでしょうか。

(コガタスズメバチの巣はこちら)

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