ハグロトンボ

ハグロトンボ・オス(8/15)

ハグロトンボ・オス(8/15)

黒い羽にメタリックな緑色の胴体。実に美しいトンボ、ハグロトンボです。飛ぶ姿も前翅と後翅を大きく交互にゆったりと動かし、蝶のようにひらひらと飛ぶ感じで実に優雅です。昨年の5月に紹介したカワトンボの仲間で体長は5~6㎝、オスは写真のように腹部が金属光沢のある緑色ですが、メスは全体に黒褐色です。

生息場所はカワトンボと同じ稲城市の上谷戸周辺。稲城市を流れる三沢川の支流で多摩川の源流に当たる場所になります。川岸に水生植物の生える緩やかな流れのある場所を好みます。ここでは5~6月にカワトンボが見られ、7月~8月になるとこれに代わってハグロトンボが現れます。共にきれいな流れでないと生息できませんから、ここは貴重な生息場所です。羽化したての若いハグロトンボは水辺よりもやや暗い林の中で生活することが多いとのこと。そう言えば、カワトンボに比べると川辺の周りに林のある場所で見かけることが多いように思います。

両種とも全国的にはそれほど珍しいものではありませんが、都内では共に絶滅危惧種に指定されています。この場所ではハグロトンボの方が少ないようです。稲城市の別の谷戸でもカワトンボは見かけすがハグロトンボは生息していません。ただし、多摩川流域ではハグロトンボだけが生息している場所もあるようです。一時期急激に減少したハグロトンボですが河川の浄化が進み復活しているとの報告もあります。

ハグロトンボは地域によっては「神様トンボ」と呼ばれることがあるようです。「黒」という神秘的な雰囲気、静かに優雅に飛ぶ気品のある姿、なるほどとうなずけます。お盆の頃に見られ、神様からのお使いや先祖の魂が姿を変えたものと考えられていたようです。翅を閉じている姿が合掌に繋がるとも言われています。さて、今日は終戦記念日です。今年は戦後70年、「安保法制」が議論され、これからの国の進路を決める大きな節目となっています。世界にはまだ戦争の続く国もあります。「神様トンボ」と一緒に、世界の平和を願い手を合わせたいと思います。

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