ニホンカワトンボ

ニホンカワトンボ(5/3 高3千葉君撮影)

ニホンカワトンボ(5/3 高3千葉君撮影)

前回のブログで紹介した5月3日の観察会で、最後にたくさん観察されたのがカワトンボです。いわゆる糸トンボのような細身の胴体ですが、大きさは5㎝ほどの中型のトンボです。場所は稲城市若葉台の上谷戸(かさやと)親水公園周辺。多摩川の支流として稲城市を流れているのが三沢川、そのまた支流にあたる上谷戸川周辺を整備したのがこの公園です。その公園からさらに上流のまさに多摩川の源流にあたる部分に生息しています。

多摩川源流と聞くと沢筋を上った森の中というイメージがするかもしれませんが、この場所も公園として整備されており、水の湧き出し口も石で囲まれているのでわかりやすい場所です。その源流から50mほどの細い流れが生息場所です。オスが縄張りを持つ性質があるため、流れに沿った草むらに1mおきに並んでいます。ずらりと並んで飛んでは止まり飛んでは止まりと繰り返していますが、常に一定の間隔を開けて止まっていました。

オレンジ色の美しい翅の個体の中に時々無色の翅の個体が混じっています。オレンジ色がオスで無色がメスなのですが、中にはオスの無色翅も存在します。無色のオスは縄張りを持たないようです。オレンジのオスと無色のオスがどのような行動をとるのか、どのようにメスを獲得するのか、ゆっくり時間をかけて観察するとおもしろそうですね。胴体はメタリックな青緑色ですが、成熟した個体は全体に白い粉を吹くようになるのが特徴です。

カワトンボ属の仲間は以前は3種に分類されていましたが、10年ほど前のDNA鑑定の結果、今ではニホンカワトンボとアサヒナカワトンボの2種に落ち着いています。両種の違いは私には分かりませんが、専門家のデータなどから判断し、この地域のものはニホンカワトンボと判断して良さそうです。いずれにしろ水辺に植物のあるきれいな流れにしか生息できません。これからもカワトンボの生息できる環境を維持していきたいものです。写真は高3千葉君の撮影です。

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