ミノムシ

ミノムシ(11/24・大きさ約4㎝)

ミノムシ(11/24・大きさ約4㎝)

我が家の庭でミノムシを見つけました。園芸用のコニファーに付いた大きさ4㎝ほどの立派なミノです。これだけ大きなミノムシにお目にかかったのは久しぶりのような気がします。

このミノムシはオオミノガというガの幼虫で、イモムシが枯れ葉や枯れ枝を身にまとって住みかとしているのです。エサを食べる時はミノの入り口から頭と足を出し、ミノを背負ったまま移動して葉を食べます。初夏に生まれた幼虫は成長するにつれて住みかも拡張し、今の時期は終齢幼虫になって越冬体勢に入っています。ですから冬に見かけるミノムシは最も大きな状態です。

越冬したミノムシは5月頃には蛹になり、6月頃に成虫になります。この成虫の生態がまた非常にユニークです。オスは羽化してメスを探して飛び回りますが、メスは成虫になってもミノから出てきません。それどころかメスには翅も足もなく全く移動ができないのです。蛹の殻に入ったままで匂いでオスを呼び寄せ、交尾するとその蛹の殻の中にたくさんの卵を産んで、死ぬまでミノの中で過ごすわけです。・・・と書きましたが、ミノの中に入ったままのメスの成虫を私はまだ見たことはありません。今回のミノムシはオス・メスのどちらなのでしょうか。来春を楽しみにしていましょう。

さて、このミノムシが全国的に激減しているのをご存じですか?「そう言えば最近見ない」と感じている方も多いと思います。特に西日本での減少が激しく、九州四国の各県では絶滅危惧種に指定されています。その原因はオオミノガヤドリバエという寄生バエの影響。この寄生バエは20年ほど前に中国から侵入し全国的に広がっているそうです。外来種の侵入により日本古来の生態系が攪乱されている典型的な例だと言えますが、あまりこんな「典型」が出現して欲しくはありませんね。

ところで、今回のコラムを書くにあたっていろいろ調べていたところ、YouTubeで1958年制作の文部省特選「ミノムシの生活」という映画を見つけました。非常に興味深い映像です。是非ご覧ください。

ご意見・関連情報などありましたら、こちらまでご連絡ください。