イチモンジセセリ

白斑が一列に並びます

白斑が一列に並びます

前翅はV字に、後翅は水平に開く

前翅はV字に、後翅は水平に開く

セセリチョウの仲間のイチモンジセセリです。セセリチョウは、チョウの中でもちょっと特殊なグループで、胴体が太く短く全体的にずんぐりした形からガと間違えている人も多いと思います。しかし、そもそもチョウとガの形態上の厳密な区別はありません。チョウもガも同じ鱗翅目に分類されますが、その中ではガの方が圧倒的に多く、系統的にはガの一部にチョウが現れたと考えられています。

鱗翅目でチョウと呼ばれているのは、アゲハチョウ上科、セセリチョウ上科、シャクガモドキ上科に分類されるものです。シャクガモドキ上科は日本にはいません。アゲハチョウ上科は、アゲハチョウ、シロチョウ、タテハチョウ、シジミチョウなど「ヒラヒラ」と飛ぶいわゆる一般的なチョウです。これに対しセセリチョウは羽ばたきと飛行が素早く、英名で「skippers」と呼ばれる通り、花から花へスキップするように敏速に飛び回ります。

そのセセリチョウの中で最も普通に見られるのがこのイチモンジセセリです。後翅にある4つの白斑が一列に並んでいることからこの名前が付きました。近い仲間のオオチャバネセセリはこの白斑がジグザグに並ぶことで区別されます。暖地で越冬した成虫が、移動・分散しながら秋になると個体数を増しますので、「秋のチョウ」のイメージです。花壇の百日草や黄花コスモスなどの花を次から次へと小気味よく飛び移っています。

やや細かい話になりますが、セセリチョウの仲間はさらに6つのグループに分けられ、それぞれのグループで形や止まり方のようすが少しずつ異なります。イチモンジセセリのグループは、静止時に前翅をV字に立てて後翅を水平にするちょっと変わった姿勢をとることが特徴です。右の写真で分かるでしょうか? そんなことに注目しながら観察すると、あまり人気のない(ゴメンナサイ)セセリチョウにも愛着がわいてきますね。

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