二つの頭を持つ(?!)アリ

頭の先にもう一つ頭が・・・

頭の先にもう一つ頭が・・・

「先生大変だ!頭が2つある!」。夏休みも終わりに近い8月の末、部活動中のテニス部の生徒が、大慌てで顧問の小田先生のところにやってきました。早速小田先生がスマホで動画と画像に収めました。確かに頭の先にもうひとつ頭があり、2つの頭を持って歩き回っています。「突然変異?!」「新種じゃないの?!」。生徒達は大騒ぎです。

この話が私のところに届いたのは翌々日のこと。理科の鈴木寛之先生が現物を預かって、届けてくれました。その時には死んでしまって丸まっていましたが、頭が2つあるのがはっきりと分かります。「そんなバカな?」と思いましたが、細い管で2つめの頭が繫がっているようにも見え、「ひょっとして何かの変異?」とも一瞬頭をかすめました。

体長は1㎝くらい。大きさと色から判断してクロオオアリだと思います。クロオオアリは日本では最大のアリで、南西諸島を除き日本全国どこにでもいます。庭や公園にもいますから、校庭にいてもおかしくはありません。

眼鏡をはずし、目を近づけてじっくり見ること数分。分かりました。前方に付いているのはひとまわり小さい別の種類のアリの頭です。クロオオアリは他種のアリを攻撃しエサにすることもあります。この時攻撃されたアリも反撃したのではないかと思います。クロオオアリの触角に噛みついて放さなかったのでしょう。この戦いで噛みついた方のアリは胸から下が食いちぎられてしまったようです。頭だけが触角にくっついて、2つの頭のアリとなっていたのです。

それにしてもよく見つけましたね。動きと形のちょっとした違いにめざとく気がつくとは、すばらしい観察眼です。感心しました。これからも、いろいろな発見をして欲しいと思います。

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