ホソヒラタアブ

ホソヒラタアブ(6/2)

ホソヒラタアブ(6/2)

ホソヒラタアブ。アブといっても、人の皮膚を吸うようなアブの仲間ではありません。話がややこしくなるので初めに説明しておきます。ホソヒラタアブは双翅目というグループに属します。双翅目の仲間は、後翅が退化し前翅だけの2枚の翅になっているのが特徴です。その中には我々に身近なものでは、カ、ハエ、アブなどの仲間が含まれます。この中でホソヒラタアブはアブではなくハエの仲間に入ります。ホソヒラタアブを含む仲間はハナアブ科というグループをつくりますが、ハナアブ科全体がハエの仲間です。

そもそも蝿(ハエ)と虻(アブ)は分類上の厳密な用語ではなく、ハエの中でも人を刺したりして「何となくハチに似ている」ものをアブと呼んでいたようです。ハエは「舐める」口を持っており、ハナアブの仲間も花の蜜をなめる平和な存在です。ところがこの仲間はハチに擬態した黄色地に黒い線の入った警戒色をしています。そんなところから「ハナバエ(・・)」ではなく「ハナアブ」となったのだと思われます。ちなみにハチは膜翅目に分類され翅は4枚です。

私がこのホソヒラタアブに愛着を感じるのは、1㎝ほどの小さな体で本当は平和主義者でありながらハチに擬態し目玉まで赤くして、「俺は強いんだぞ」といきがっているところ。かわいいと思いませんか。赤い左右の複眼が中央でくっついているのがオスで、離れているのがメス。この写真はオスだと思います。

3月から11月まで庭や畑のまわりなどどこでも見られます。成虫で越冬しているので暖かくなるとすぐ現れます。春先、「そろそろ昆虫採集の季節到来!何かいないか?」と庭に出ると、早咲きの花壇の花の周りでホバリングしている彼らに必ず会うことができます。春一番の昆虫としても愛着を覚えます。それでいてほとんどの人には名前も姿も知られてはいません。そんなところも応援したくなるかわいい仲間です。

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