モンシロチョウとスジグロシロチョウ

モンシロチョウ

モンシロチョウ

スジグロシロチョウ

スジグロシロチョウ

モンシロチョウ。小学校の教科書にも登場し誰でも知っている白いチョウです。ところが、住宅地などで見られる白いチョウ、実はモンシロチョウではないことをご存じですか。近い仲間のスジグロシロチョウです。モンシロチョウは紋のある白いチョウ、これに対しスジグロシロチョウは写真の通り黒い筋が目立っているのが特徴です。

モンシロチョウは拓けた明るい場所を好み、幼虫の食草は菜の花(アブラナ)やキャベツなどアブラナ科の栽培植物です。ですから、キャベツ畑などの畑がなければ生きていけません。以前はこうした畑がたくさんありました。畑の周りや土手や空き地に広がったアブラナなどもモンシロチョウの生活する絶好の環境でした。しかなしながら、こうした環境はどんどんなくなり、それにつれてモンシロチョウも少なくなってしまいました。学校周辺でも、ブロッコリーなどの栽培された畑や家庭菜園の周辺でしか見ることができません。

一方、スジグロシロチョウは庭先や道ばたにも見られるイヌガラシなど野生のアブラナ科の植物を食草としています。建物によって日影が多くなる環境も、林縁のやや暗い場所を好むスジグロシロチョウにとっては住みやすい環境になっているようです。こうした事情から、住宅地を含め都市部で見られる白いチョウはほとんどがスジグロです。生き物たちの盛衰が環境とともに変化することがよくわかりますね。

ところで、日本でキャベツやアブラナの畑ができたのはそれほど昔のことではありません。縄文時代のような栽培も行われていない時代には、両種の勢力争いはどのようになっていたのでしょうか。スジクロが優勢だったことは確かなようです。以後、農耕が広がるとともにモンシロが優勢となり、ここに来てまたスジクロが息を吹き返している状況です。ところがモンシロもこのままで終わるわけにはいきません。最近野生化して増えている中国原産のショカツサイ(ムラサキハナナ)を利用し始めたモンシロも報告されています。モンシロチョウの起死回生の復活劇はあるのでしょうか。興味深く見守りたいと思います。

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