秋も元気なツマグロヒョウモン

ツマグロヒョウモン・オス(11/1野外)

ツマグロヒョウモン・オス(11/1野外)

羽化したメス

羽化したメス

ツマグロヒョウモン羽化(11/12室内)

ツマグロヒョウモン羽化(11/12室内)

ツマグロヒョウモン幼虫(10/27採集)

ツマグロヒョウモン幼虫(10/27採集)

「秋も元気なタンポポ」に続き「秋も元気なチョウ」の話題です。ツマグロヒョウモンが11月に入っても元気に飛んでいます。先日も畑の脇のキバナコスモスやセイタカアワダチソウに2~3匹が集まっていました。このチョウは本来西日本を中心に生息していたものですが、この20年ほどで生息域を北上させ関東地方ではいわゆる「普通種」になっています。温暖化や幼虫が食草とする園芸用のパンジーの移動が原因ではないかと考えらています。

10月末には道端のスミレで幼虫を見つけましたので採集して生物室で飼育したところ、10月30日に蛹になり、11月12日に羽化してきれいなメスの成虫が現れました。13日には一日遅れでオスが2匹羽化しました。室内の温度は20度を超えており、この2~3日部屋の中を元気に飛び交っています。シャーレに砂糖水を用意しましたので、利用してくれると多少長生きすると思うのですが・・・。

写真でも分かるとおり、このチョウはオスとメスで模様が異なります。名前の「ツマグロ」はメスの模様に由来し、これはカバマダラというチョウに擬態したものといわれています。カバマダラは奄美大島や沖縄などに生息し、体内に毒を持つチョウです。これに擬態することで鳥などから逃れることができるのです。しかし、北上してきた関東地方にはカバマダラは生息せず、「ツマグロ」の模様を毒だと認識している鳥はいません。ですから、学校周辺では、毒だと見せかけてゆったり飛んでいるメスの方がかえって鳥に食べられる確率が高くなり生息数が少なく、野外で見かける個体は多くがオスです。

本校の自然科学部では、この数年、このツマグロヒョウモンの生態を調べています。別の機会にこれまでの研究結果を紹介したいと思います。

 

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