ナンバンギセル

学校裏の土手に咲いています

学校裏の土手に咲いています

今年もまたナンバンギセルのピンクの花にお目にかかることができました。校舎裏の土手に毎年現れます。数年前に校長先生が校長室の窓から土手を眺めていて見つけたのが最初です。スゴイ目の良さにビックリします。以来、2学期が始まった9月の初めに確認するのが毎年の観察事項となっています。今年はやや数が少ないような感じもします。

ナンバンギセルはススキの根に寄生する寄生植物です。葉緑体を持たないので栄養分は全てススキに頼っています。茎は地上にはほとんど出ず、10㎝前後の花柄だけをススキの根本から伸ばしてピンク色の花を1つつけます。花を取り囲む包みのようになっているのががくです。この姿が西洋のマドロスパイプに似ていることからこの名前がつきました。

万葉集には「思い草」という名で登場します。ちょっと下向きに頭をうなだれている姿から連想された名前なのでしょう。でも、私の印象は、「静かに物思いにふける」というよりは、ピンクから紫のはっきりした色と特徴的な形が「きちんと物申して自己主張をしている」という感じです。花自体ははっきりしているけれども、ススキの根元で目立たないところが奥ゆかしいのでしょうか。

ナンバンギセルは寄生根がススキの根に入り込み、ススキの道管や師管と自分の組織を融合させながら栄養分を奪って成長します。植物にとって本来最も重要なはたらきである光合成をやめ、特殊な労力を要する生き方を選んだナンバンギセル。ちゃっかり他人の成果を奪い取るズルイ生き方と捉えるのでしょうか、それとも、光の当たらないススキの根元で必死に生きようとするたくましい生き方と捉えるのでしょうか。どのような進化の過程をたどったのか興味深いですね。

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