アブラゼミの抜け殻

アブラゼミの抜け殻(8/3)

アブラゼミの抜け殻(8/3)

メスには産卵器官のあとがあります

メスには産卵器官のあとがあります

先端のツメの部分は幼虫時代はたたまれています

先端のツメの部分は幼虫時代はたたまれています

8月に入り、うるさいくらいにセミの声が聞こえるようになりました。主役はやはりアブラゼミ。抜け殻もたくさん見つかります。先日は葉っぱの表側についている抜け殻がありました。セミは頭からのけ反るように脱皮して自分の抜け殻に掴まりながらはねを伸ばします。そのため枝や葉の下側にしがみつくのが普通です。写真のような態勢では脱皮しにくかったのではないかと思いよく見たところ、心配ご無用、重みで葉が垂れ下がってちょうど良い角度になるようになっていました。

抜け殻の観察も面白いですよ。まず抜け殻でオス・メスの区別がつけられます。メスではおしりの先端部分に産卵器官の跡がついているのが特徴です。数年前、我が家の庭の抜け殻をひと夏調べてみました。毎朝抜け殻見つけてオス・メスの数を記録したところ、約1ヶ月間で150ほどの抜け殻が見つかり、この時はオスの方がやや多めでした。興味深いのはオスの方が早めに出てくることです。7月中はオスの抜け殻の方がが多く、8月になるとメスの抜け殻が増えてきました。昆虫の世界は、オスが先に出現するケースが多いようです。

前足の形に注目するのも興味深いです。太く頑丈で土の中で穴を掘るシャベルのような働きになっています。これで細い根なども切ることができるのではないでしょうか。写真で丸で囲った前足の先端の部分は、脱皮するときに木や葉にしっかりとしがみつくためのツメにあたります。これで体を固定するのですから非常に重要な役割です。実はこの部分は幼虫時代は折りたたまれて隠されています。大切にしまっておいた道具を最後に出して脱皮を成功させる。生き物のしくみのすばらしさを感じませんか。

幼虫も成虫と同じように針のような口を根にさして栄養分を吸収しています。抜け殻には幼虫時代の 口吻がちゃんと残っていますので、親を捕まえて口吻の長さを比べてみるのもおもしろいと思います。 親の方が2倍くらいの長さになっています。脱皮した後スーッと伸びるんですね。抜け殻といえども 貴重な情報満載の「生き物」です。是非この夏、「抜け殻ウォッチング」に挑戦して下さい。

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