ツユクサの気孔

ツユクサ

ツユクサ

ツユクサの気孔

ツユクサの気孔

中学1年生の授業でツユクサの気孔を観察しました。葉の裏側の表皮が剥がしやすく観察しやすいことから実習によく利用されます。いつもあるはずの場所にあまり見あたらなかったため、学校の周りを一回りしたところ、道路脇の側溝でまとまって生えている場所を見つけました。あまり手入れのされていない側溝で落ち葉などがたまり湿り気があってツユクサの生育にはほどよい環境となっているようです。そう言えば、聖蹟桜ヶ丘駅や私の自宅周辺でも側溝で育つツユクサの姿を見かけています。

ツユクサは何と言ってもあの青い色がステキです。そのブルーを引き立てているのが花の真ん中にある黄色い部分。これはおしべの葯(花粉の入った袋)で、実はこの葯がおもしろいんです。6本あるおしべのうち、2本は長く伸びて普通の花でよく見られる楕円形の葯をつけています。これをO字型と呼んでいます。ここからは花粉がたくさんつくられます。3本は花びらの基の部分でよく目立ちX字型をしています。私にはこの形はギリシア文字の「π(パイ)」に見えて、すごくかわいらしいと感じます。ところがこの葯からは正常な花粉がつくられないのです。働きを持たないものが少しだけつくられるだけです。虫を引きつけるための飾りの役割に変化したのではないでしょうか。残りの1本は中間にあり逆V字型で、これはO字型と同じ花粉をつくります。何で1本だけが特別なのか不思議ですね。 自家受精や受粉のしくみに秘密があるのだと思います。

さて、顕微鏡で気孔を観察するとコーヒー豆のような細胞が見えてきます。これが孔辺細胞で、2つの孔辺細胞の間のすき間が気孔です。孔辺細胞だけには葉緑体が見られるのが分かりますか。生徒達は「たらこ唇!」などと呼んで喜んでいます。上の写真では唇はほとんど閉じた状態です。周りの表皮細胞に見られる結晶状のものはシュウ酸カルシウムだと思います。ツユクサは食用にもするそうですがあまり食べ過ぎない方が良さそうですね。

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