アカボシゴマダラ春型出現

春型は「赤星」も目立たず全体的に白い

春型は「赤星」も目立たず全体的に白い

通常の夏型個体。中国産亜種が広がっている。

通常の夏型個体。中国産亜種が広がっている。

5月12日は本校の体育祭でした。この時期の体育祭は多くの学校の中でも最も早い開催だと思います。新年度が始まり新入生を迎え、聖ヶ丘としての一体感をつくることが目的です。例年以上に盛り上がった高校生男女の「騎馬戦」や「棒引き」のパワーを感じ、新中学1年生も聖ヶ丘の一員となった実感を持つことができたのではないでしょうか。

さて、この数年、この体育祭の日に毎年確認している観察事項があります。アカボシゴマダラの春型の出現です。アカボシゴマダラは大型で赤い模様がポイントの美しいチョウです。日本では本来奄美諸島だけに生息するチョウですが、1990年代後半、神奈川県の藤沢市で中国産亜種が放されと思われ、その後急速に生息域が拡大し最近では関東一円で見られるようになっています。学校周辺でも2006年から観察されるようになり、今ではすっかり定着した感があります。エノキを食樹とするため、同じような生育環境にあるゴマダラチョウやオオムラサキなどへの影響が懸念されていますが、今のところそのような影響ははっきりしていません。

春、エノキの葉が芽吹くのに合わせて、越冬していた幼虫が活動を再開して蛹になり、5月の初旬に羽化します。これが春型です。この春型の特徴は、夏型に比べ黒い筋や赤い模様も薄く全体に白いことです。この春型が、例年体育祭の日に観察されるのです。観察場所は学校裏の神社。それも決まって神社のシイの木の上を旋回するように飛んでいるところが見られるのです。

そして、今年も、いました! 午前中は同じ場所をアオスジアゲハが数匹追いかけ合うように飛んでいましたが、昼休みの1時過ぎに見に行ったところ、2匹のアカボシを確認しました。アオスジの敏速な飛翔に比べアカボシの方は比較的ゆったり羽ばたき、時折シイの木の梢にとまります。双眼鏡ではっきり確認することができました。撮影はできませんでしたので、以前の標本の写真で勘弁してください。

ご意見・関連情報などありましたら、こちらまでご連絡ください。