キアゲハが羽化しました
今回も生物室の話題です。4月4日、飼育中のキアゲハが羽化しました。正確に言うと、羽化した後の蛹の脱皮殻を見つけました。春休み中だったのでうかつにもきちんと観察していませんでした。慌てて部屋中を探したところ窓の下ですでに息絶えた成虫を発見。まだ柔らかかったので、羽化したのは1日か2日のことだと思います。
キアゲハはよく見かけるアゲハとは別の種で、名前のごとく黄色みがやや強く模様も異なり、幼虫もミカンの木ではなくニンジンやパセリで育ちます。この個体もイタリアンパセリで育てたものです。野外ではまだ見かけていませんから、暖かい室内で羽化も早かったのでしょう。
キアゲハやアゲハは蛹で越冬して春に羽化し、これが卵を産んで夏から秋にかけて3~4回世代を繰り返します。春に羽化したものは「春型」、夏に羽化したものは「夏型」と呼んでいます。そして最後の「夏型」から生まれて9~10月頃育った幼虫は、蛹になるとそのまま休眠して越冬します。休眠の条件は寒さだと思われがちですが実は日照時間です。幼虫の時期の日照時間が短くなると休眠蛹になるのです。
実は今回羽化した個体は昨年の6月に日照時間を短くして育てたものです。通常の日照時間で同時に育てた個体は7月には羽化して立派な「夏型」となりました。この個体は少し遅れて蛹になり夏になっても羽化しません。死んでしまったのかもしれないと半信半疑でそのまま保管していたのですが・・・。よかった!実験成功です! ちなみに「春型」は「夏型」にくらべて大きさが小さいのが特徴です。
2013年4月6日 有岡 淳
カテゴリー:昆虫
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