ホトケドジョウ

愛嬌のある顔です

愛嬌のある顔です

ヒゲは8本、2本は上向き

ヒゲは8本、2本は上向き

今回は生物室の住人ホトケドジョウを紹介します。ホトケドジョウは普通のドジョウのように細長くはなく、4~5㎝ほどの太くて短いずんぐりした格好をしています。一見普通の魚が泳いでいるようにも見えますが、立派なヒゲがあり前から見ると平べったい愛嬌のある顔はなるほどドジョウだと感じさせます。ちなみにドジョウのヒゲは10本ですが、ホトケドジョウは8本、そのうち2本は鼻孔から上向きに生えているのが特徴です。現在、生物室で20匹ほどを飼育しています。エサには冷凍アカムシや乾燥イトミミズなどをあげています。

日本固有種で岩手県・秋田県以南から岡山県あたりまでに分布し、湧き水の流れ込む谷戸田周辺の用水路や流れの緩やかな小川などに生息しています。近年は丘陵地の開発や用水路のコンクリート護岸化などの影響で生息数が急速に減少ており、環境省のレッドデータブックでは「絶滅危惧ⅠB類」に指定されています。

そんな貴重なホトケドジョウが学校の裏の湿地に生息しているのです。この湿地では夏にはヘイケボタルの姿も見ることができます。ところがこの湿地、昨年の夏に開発が決定されてしまったのです。そこで地域で自然保護活動をされている方とも相談して生き物の救出作戦を行い一部を生物室で飼育することにしました。ところがところが、その後、湿地で貴重な貝が見つかったことなどもあり、開発計画は中止になりました。湿地にずけずけと入りこんで、かえって自然を破壊してしまったかと恐縮しています。

本来なら捕獲したホトケドジョウはもとの湿地に戻すべきでしょうが、生態を調べる目的でしばらくの間飼育することにしました。4月には産卵するとのことですので是非繁殖させて、子供たちも含めて里帰りさせたいと考えています。

 

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