ボケとクサボケ
学校裏の神社の斜面にクサボケが花を開き始めました。朱色の目立つ花は、雑木林の林床をぱっと明るくさせるように感じます。ただし、その朱色はやや薄くて控え目で、枯葉の目立つ雑木林の中で、美しさを自重しているようにも感じます。「クサ」とあっても草ではなく低木です。1m近くになることもあるようですが、この時期は地面からチョコッと顔を出しただけのまさに草の状態です。
一方、下の写真は近所のお宅のボケの木。こちらはたくさんの花を付けてそれはそれは見事です。色もクサボケよりも一回り赤みを帯びているようです。ボケは木瓜と書き、夏になると小さな梨のようなような実がなります。クサボケにも同じような実ができます。ボケは中国原産で平安時代に日本に移入されたと考えられています。これに対しクサボケは日本に自生している固有種です。
さて、ボケもクサボケも花に興味深い特徴があります。おしべだけの雄性花とおしべとめしべのそろった両性花があるのです。近所のお宅のボケでは、雄性花には20~30本のおしべだけがあり、両性花にはおしべに混じって先端が5本に分かれためしべがありました。外側から見ると、両性花の方は花の基の部分がふっくらふくらんでいます。子房と呼ばれ、将来実になる所です。皆さんも是非調べて見て下さい。写真のクサボケの花は両性花でした。
2016年3月28日 有岡 淳
カテゴリー:植物
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